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耐震等級3は必要?等級別の違いとメリットデメリット 〜基礎編〜

2024.12.06 - Fri

頻繁に地震が起こる日本に住む以上、地震に強い家に住みたいと思うのは然です。
では、地震に強い家=「耐震等級3」は絶対必要なのでしょうか?
今回の投稿では、耐震等級3が耐えられる震度や、耐震等級2や1との違いを解説します。

耐震等級とは?


耐震等級とは、地震が起きたときに建物がどれだけ強い揺れに耐えられるかを示す指標です。いわば、建物の「地震に対する体力」のようなものです。

なぜ耐震等級が重要なの?


日本は地震大国です。地震が起きたときに、建物が倒壊してしまうと、人命にかかわるだけでなく、大きな被害につながります。耐震等級を確認することで、地震に強い家かどうかを判断することができます。

耐震等級はいくつあるの?


耐震等級は、一般的に1から3までの3段階に分けられています。数字が大きいほど、地震に強い建物と言えます。


耐震等級1 建築基準法が定める最低限の基準


建築基準法で定められた「耐震基準」と同等の基準です。これから建物を建てる場合、最低でも耐震等級1を満たしていなければなりません。

具体的には、「数百年に一度程度発生する規模の地震による力(東京における震度6強~7相当)に対して、倒壊・崩壊しない」、「数十年に一度程度発生する規模の地震による力(東京における震度5強相当)に対して、損傷を生じない」程度を基準としています。

注意すべきは、基準の範囲では損傷について許容されていると解釈できることです。地震が起こった後に補修が必要になったり、大きな損傷があった場合には建て替えが必要になることも考えられます。


耐震等級2 公共施設や長期優良住宅の認定基準


耐震等級1の1.25倍の耐震性があることを示します。災害時の避難所として使用される学校などの公共施設は、この基準を満たしていなければいけません。

具体的には、「数百年に一度程度発生する規模の地震による力(東京における震度6強~7相当)の1.25倍の力に対して、倒壊・崩壊しない」、「数十年に一度程度発生する規模の地震による力(東京における震度5強相当)の1.25倍の力に対して、損傷を生じない」程度が基準です。


耐震等級3 災害復興の拠点となる施設に求められる基準


耐震等級1の1.5倍の耐震性があることを示します。現行の耐震性の最高基準です。警察署や消防署などは、この基準に当てはまるよう設計されています。

「数百年に一度程度発生する規模の地震による力(東京における震度6強~7相当)の1.5倍の力に対して、倒壊・崩壊しない」、「数十年に一度程度発生する規模の地震による力(東京における震度5強相当)の1.5倍の力に対して、損傷を生じない」程度が基準です。

2016年4月に発生した熊本地震(最大震度7)では、住宅性能表示制度を利用した木造住宅のうち、耐震等級3に当てはまる建物に大きな損傷は見られなかったという調査結果も出ています。

耐震等級3の家を建てるメリット


大きな地震に遭ってもダメージが少なくてすむ


耐震等級3の家は、耐震等級1や2の家と比較すると、地震によって受けるダメージが小さくなるのがもっとも大きなメリットです。例えば震度6強程度の地震が起きた場合、耐震等級1だと倒壊や崩落を防いで命を守ることはできても、建物の損傷が大きければ建て替えが必要になるかもしれません。

しかし耐震等級3の家だと損傷が小さくてすむことで、そのまま住み続けられる可能性が高くなり、資産としても維持しやすくなります。災害時に避難生活を送るリスクを減らせることは、家族の不安を軽減し、メンタルの安定にもつながるでしょう。


住宅ローンの金利優遇を受けられる


住宅ローンを提供している金融機関のなかには、耐震等級3の家に対して金利を優遇する会社も少なくありません。低い金利で住宅ローンを借りられるのも、耐震等級3で家を建てるメリットです」

例えば住宅金融支援機構の住宅ローン「【フラット35】S」では、耐震性を含む住宅性能のレベルによって、0.25%から0.5%も金利が下がる可能性があります。(※2023年3月現在)


地震保険の割引率が大きくなる


地震保険は耐震等級に応じて割引が受けられます。割引率は耐震等級1だと10%、等級2では30%ですが、等級3だと50%と大きくなるのが特徴です。

なお現行の建築基準法に沿って建てられていれば耐震等級1とみなされるため、耐震等級1の住宅性能評価書はいらないとされています。建築確認済証と完了検査済証を提示すれば10%の割引を受けられます。




売却時に高く売れる可能性がある


耐震等級3の認定を受けた家は耐震性の高さが証明されているため、資産価値が評価され、売却時に高く売れる可能性があります。

ただし近年は、中古住宅を安価に購入し、自分たちの好みの間取りにリフォームやリノベーションしたいと考える人が増えています。そのような人から価格面で敬遠された場合には、売れにくい場合もあるでしょう。

耐震等級3の家を建てるデメリット


建築コストが高くなる


耐震等級を上げると、使用する建築材料が増えることによる物理的なコストはもちろん、設計・施工の手間と時間がかかることにより、人件費も高くなります。また木造住宅は、耐震等級1であれば、2階建てまでは構造計算が義務ではありません。しかし耐震等級2以上にする場合は、必ず構造計算をおこなわなければならず、そのための費用もかかります。

また耐震等級3と認定されるには第三者評価機関による調査が必要になるため、設計や工事にかかる期間が長くなる傾向があります。弊社では、通常でしたら設計で5~6カ月、工事に6カ月程度を見込みますが、耐震等級3にする場合には、各1カ月、合計2カ月程度長くなるイメージです。その間、今住んでいる家の家賃を払い続けなければなりません。

全体のコストがどれくらい高くなるのかは、家の大きさや設計の複雑さによるので一概にはいえませんが、構造計算だけでも20~30万円程度かかるのが一般的です。


希望の広さや間取りにできない場合がある


耐震等級3の家は、建築コストが高くなる結果、希望の広さにできない場合があります。例えば耐震等級1であれば30坪の家を建てられる予算でも、耐震等級3にすると坪単価(1坪当たりの単価)が高くなるため25坪の広さにしかできない、といったこともあるでしょう。

また耐震性を高めるためには耐力壁を増やす必要があるので『広々としたリビングにしたいのに、真ん中に耐力壁を立てなければならない』など、希望の間取りにできないことも考えられます。


依頼の段階でリクエストする必要がある


耐震等級は任意の制度であるため、希望する場合はハウスメーカーや設計事務所に依頼する段階で、明確な意思表示が必要です。

耐震等級3の家にするためには、それを前提に設計を進めなければなりません。あとになって『耐震等級3の認定を受けたい』と希望しても、すべてやりなおさなければならず、進捗によっては耐震等級3を満たす設計に変更できない場合もあります。耐震等級3にすることを考えている場合には、できるだけ早い時点で相談しましょう。

なお、耐震等級3の認定を受けるための第三者機関への申請は、施主が自分自身でおこなっても建設会社や設計事務所に依頼しても、どちらでも構いません。


まとめ


耐震等級3の家は確かに耐震性が高くなるので、精神的には大きな安心を得られます。しかし耐震等級3の認定を受けるためには、時間もコストもかかるのが事実です。

どれだけ家の耐震性が高くても、それにより守られる家族の生活が充実していなければ、幸せな暮らしを送るのは難しくなるかもしれません。耐震等級3にするメリット・デメリットを比較して、時間とコストを投じる価値があるのか、ほかに優先すべきことはないのかまで考えたうえで、必要かどうかを決めましょう。

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